なんとなく哀愁を

大阪で哀愁を拾い集めています。

五階百貨店を歩く1

大阪日本橋には「五階百貨店」なる区画が存在している。古くからの商店が軒を連ねる、渋い街並みがそこには広がっている。

 

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堂々と掲げられた「五階」の文字。一見、三階建てなのに強引に五階だと言い張ってる、わけのわからない建物に見えるだろう。だがこの建物は五階で間違いなく、誰が何を言おうとここは五階なのだ。

 

というのも「五階」というのは地域の名称であって、建物のことを指してるわけではない。遡ること明治時代、この地に5階建てのタワーが建てられ、周辺商店を引っ括めて「五階」と呼び親しまれたのがこの名の由来。

 

だから「五階ちゃうやん!」なんてことを店主に言ったら、「は?てめーにこの地の歴史のなにがわかる!」なんて返しがくるかもしれないから控えよう。

 

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wikipediaより写真引用)

 

1888年に建設された、高さ31mの5階建てパノラマタワー「眺望閣」。当時5階建ての建物は珍しく、多くの観光客で賑わったそうだが、それを相手にしようと複数の露店が集まり、商圏を形成したのが五階百貨店の始まりだそうだ。

 

当時の流行語が百貨店で、それに肖って「五階百貨店」と名付けたとのことだが、なんとも大阪らしい命名と言える。

 

その後、昭和初期に眺望閣は解体され、太平洋戦争になると一帯全て焼け野原になったそうだが、再興し変遷を辿りながら、現在に至るまで五階百貨店の名は脈々と受け継がれているわけだ。

 

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現在の五階百貨店は昭和を香らせる昔ながらの個人商店が軒を連ねている。この3階建ての建物では職人が使う工具や金物などを取り扱う店舗が集まっているようだ。

 

五階百貨店はこの建物だけに留まらず、路地に入るとこれまたノスタルジー溢れる店舗が、緩やかな時の流れのままに存在している。

 

続きはまた次回。